研究概要 |
カーボンナノチューブを電界放射型フラットパネルディスプレーの電子源へ応用することを目的に平成14年度は以下の3点に注力して研究を進めた. (1)カーボンナノチューブ(CNT)の成長 単一のSiエミッタ上に産業技術総合研究所ナノテクノロジー分野の協力のもと,熱CVD法によって単層のCNTを成長した.走査電子顕微鏡で成長状態を観察し,電界放射電流の測定が可能な構造であることを確認した. (2)電界放射顕微鏡(FEM)の製作 電界放射電流の測定および電界放射パターンの観測に必要なFEM装置を設計し製作した.測定中の電界条件を変化させることができるように,陰極固定部分には可動機構を取り付けた.超高真空領域まで排気し,FEMとしての機能を確認した.現在,CNTからの電界放射特性の測定に用いられている. (3)Siエミッタ上のCNT電界放射電子源アレー(CNT FEA)の電界放射電流の評価 Siエミッタ上のCNT FEAを作成しFEMを用いて電界放射電流を測定した.CNT FEAは低電圧で動作可能なことを確認した.また,CNT FEAの電界放射電流は表面の吸着物の種類と量により大きく変動することが分かった.さらに電界放射電流の時間変化から,実効的に動作しているCNTエミッタの個数を推定できる方法を示すことができた.これらの研究成果はIVMC 2003で発表を予定している.電界放射電流の時間変動および電界放射パターンを詳細に検討するために,(1)で述べた単一のSiエミッタ上に成長したCNTエミッタの電界放射特性を測定した.現在はこの特性の評価を行っている.
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