研究概要 |
Si突起先端にカーボンナノチューブ(CNT)を成長させた電界放射電子源アレー(FEA)および単一CNT電子源を作製し電界放射特性を評価した. 1.Si突起上のカーボンナノチューブFEAの製作と電界放射特性の評価 CNTの成長には化学触媒を用いた熱CVDを用いた.この熱CVDプロセスに関しては,産業技術総合研究所および大阪大学産業科学研究所の協力を得て行われた.化学触媒を基板上に塗布し,CH_4ガス中にて900℃で加熱することにより,CNTは基板からSi突起の側面に沿って成長した.熱CVDを用いたこの方法では再現性良く各Si突起にCNTが成長することが確認できた. 電流-電圧特性から製作したCNT FEAは通常のSi FEAに比較して1/5以下の低い電圧で動作することがわかり,平面型FEDの低電圧動作電子源として期待できた.電界放射電流の時間変動を調べた.その結果から多数のCNT電子源を並列動作させることにより電界放射電流の安定化がはかれるものと考えられた.電界放射電流の圧力による変動を調べた.通常の金属や半導体FEAに比較して非常に高い0.1Pa程度の圧力でも安定に動作することが明らかになった. 2.単一カーボンナノチューブ電子源の製作と電界放射特性の評価 単一のCNT電子源を用いて,表面状態と電界放射特性,特に放射電流の安定性について調べた.高温の熱処理によって,表面状態を変化させながら電界放射特性を評価した・熱処理によって電界放射特性は変化することがわかった.また,高温の熱処理によって電界放射電流の時間変動は小さくなることがわかった.
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