ターボ符号の誤り率特性評価にインポータンスサンプリングを適用するために、ハイパートレリス上の誤りパターンについて検討を行った。ターボ符号における誤りの発生は、複数の要素符号器の状態遷移とインターリーバの組合せに依存している。この特徴を利用し、各誤りパターンの発生確率の推定にインポータンスサンプリングを適用することにより、全体の誤り率が推定できると考えられる。しかし、従来のバウンド評価は確率的に平均化された仮想的なインターリーバにおける評価が主流であり、そのため、実際のインターリーバを用いたシステムの誤りパターンが完全に考慮されているわけではない。そこで、最も基本的な符号化率1/3、s-ランダムインターリーバ、同一の要素符号器2つからなるターボ符号に対して、ハミング距離を距離尺度として距離の小さい方から誤りパターンの探索を行い、更に、実際のシミュレーションで発生した誤りパターンの頻度分布とを比較・検討した。その結果、両者には非常に高い相関性が認められ、また、ハミング距離が小さい誤りパターン程発生頻度が大きいことが分かった。これから、従来のユニフォームインターリーババウンドの計算方法を修正することで、計算機シミュレーションでは評価が行えない領域において、より正確な上界値評価ができると予想される。また、シミュレーション確率密度関数に関する検討が必要ではあるが、実際の各誤りパターンの発生確率という観点から、ターボ符号の誤り率特性評価にインポータンスサンプリングが適用できる可能性を示した。
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