近年、シャノン限界に近い特性を有するターボ符号が注目を集めている。ターボ符号の誤り率特性評価方法には、理論計算による方法と計算機シミュレーションによる方法とが存在しているが、実際にそれらを利用する際にはいくつかの問題点がある。理論計算による評価は平均的なインターリーバに対する誤り率評価であり、個々のインターリーバに対する評価を行うことはできない。また、ターボ符号は非常に良好な誤り率特性を有するため、誤り率が10^<-6>を下回るあたりから、繰り返し時間の増大のために計算機シミュレーションによる評価が困難となる。そこで、高速シミュレーション法の一種であるインポータンスサンプリングを適用することで、インターリーバに依存せずかつ短時間でターボ符号の誤り率特性を行う方法を提案した。 ターボ符号器上での誤りは、個々の要素符号における誤りイベントの組合せによる誤りパターンであらわすことができる。これに着目し、誤りパターンの発生確率の計算機シミュレーションにインポータンスサンプリングを適用し、更に、支配的な誤りパターンに評価を限定することにより、短時間で全体の誤り率を評価する方法を提案した。また、実際に一般的によく使用されるLog MAP復号を要素復号器に用いたターボ符号に対して、計算機シミュレーションを行った。その結果、同じ推定精度の条件の下での従来の計算機シミュレーションと比較して、提案方法におけるビット誤り率10^<-7>、の評価時間は1/2780であることを示した。なお、この方法は、基本的に同等な特性となるMAP復号を用いたターボ符号の場合にも適用できると考えられる。
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