研究概要 |
低密度パリティ検査(low-density parity-check, LDPC)符号の復号アルゴリズムの一つである「sum-productアルゴリズムに基づく繰り返し復号(以下「繰り返し復号」と略記する)」は,最大事後確率復号法を近似することが知られている,しかしながら,符号の検査行列から一意に定まるファクターグラフ内に閉路が存在するとき,繰り返し復号の近似精度が劣化することが知られている.特に長さ4以下の閉路が多数存在する時には,その劣化の度合が深刻となる. 本研究では,巡回符号およびそれに基づく符号に対して,繰り返し復号に適した検査行列を代数的に構成する手法について研究を行ない,以下のような成果を得た. 1.巡回符号に対して,長さ4以下の閉路を持たないファクターグラフを定める検査行列を代数的に構成する手法を開発した. 2.1.の手法によって構成可能な符号の符号化率には制限がある.そこで,符号化率の設定の自由度を広げるために,パンクチャド符号や積符号の考え方を用いて新たな符号を構成する手法について検討した.その結果,符号化率の制限を解消することが可能となった. 3.2.で得られた符号は,元の符号に対する繰り返し復号をそのまま適用しても復号することができない.そこで,これらの符号に対する繰り返し復号法を新たに提案し,構成された符号の誤り率特性を計算機実験により検証した.
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