研究概要 |
本研究では、現在普及している画像圧縮方式と互換性があり,非可逆圧縮のみならず可逆圧縮も可能であり、次世代インターネット・サービスの可変ビットレートにも対応できる、新しい画像圧縮方式の研究・開発を目的としており,平成14年度から15年度の2年間をかけて研究が実施されている.以下には,前半の1年間における研究成果について概要をまとめる. 1.「画像入力・表示・出力装置」、「信号処理用計算器」、「数値計算ソフトウェア」を設置し、画像処理の実験環境を構築した。これにより,可逆DCTの高速アルゴリズムのバリエーションとそれぞれの利点・欠点を詳細に調べることができた. 2.「実時間信号処理ボード」を導入し、画像のリアルタイム・ソフトウェア圧縮を実現した。これにより、可逆DCTの係数感度を解析し、リアルタイム処理に適した最適乗算器語長を理論的に求め、その効果を評価することができた.具体的な成果は以下に示す通りである. 3.可逆DCT内の乗算器係数値の短語長化による画質の劣化度合いとして「画質係数感度」を新たに定義し、これを用いた各乗算係数値への語長配分法を提案した。また,短語長化誤差の可逆DCT内部での伝達経路を明らかにすることで,画質係数感度の理論的な導出を行った.シミュレーション実験の結果、提案法により、一様な語長配分を行った場合よりも、およそ2ビット程度短い平均語長で同等の画質を実現することが確認された。 4.インターネット通信に適した画像通信システムの開発を目的として,パケット通信網の特性をモデル化し,これをシミュレートする実験システムについて調査し,基礎的な実験を行うことで実験環境が整備された. 5.IEEE-ICIPの様な「画像処理国際会議予稿集」により最新の情報を入手することで,本研究分野における研究の動向を調査した. 6.以上の研究成果は、研究会、国際会議、論文などで,次ページに示す通り適宜発表した。
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