研究概要 |
本研究では、簡素なスイッチング回路である区分定数系や重区分線形系に対して、回路の呈する分岐現象や同期現象の解析を行うことを第一の目的としている。またそれらの回路でモデル化できる工学的応用回路(例えばサンプリング制御系)に対して、解析結果に基づいた高機能システムの開発を行うことを第二の目的としている。本年度(平成15年度)では主に、第一の目的である現象解析について前年度の考察を発展させ、第二の目的である高機能システムの合成を目指す計画であった. これに対して、今年度は主に以下の2点の成果を得た。 1.サンプル値制帰還を有する区分定数系の安定解析 離散時間力学系を基礎として,サンプル値制帰還を有する区分定数系を合成した.前年度の結果に基づいて,解が観測可能な(広い意味で安定な)パラメータ領域を導出した.さらに,前年度に提案した"遅れ時間を利用することで制御対象の位置情報を必要としない新しい制御手法"を適用させて,有限制定制御が可能な制御パラメータの同定を行い安定性を検証した.これらの成果は研究会(IEICE, NLP)等で発表し、現在論文として投稿準備中である. 2.カオス制御を応用した新しい波形発生回路の合成 カオス制御とは、カオス解の中に内在する不安定な周期解を安定化することであり,その周期解は理論的に無限個存在する.本研究では、前年度に提案した新しい制御法を応用して,カオス理論に基づいた多様な周期解の発生回路の合成法を構築した.この合成法を区分定数系に適用させて簡素な回路を実現した.また初期条件と出力される波形の関係を一部理論的に明らかにした.これらの成果は国際会議(RISP, NCSP2004)で発表し、現在論文として投稿準備中である
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