本年度得られた研究成果は以下の通りである。 1.気導音声と骨導音声の収録 日本語5母音、及び単語音声(数字)発声時の気導音声と骨導音声の収録を、防音室内で、成人10名に対して行った。また、防音室内で電子協騒音データベースDATの駅構内騒音を再生し、同様の収録を行うことで、雑音環境下音声データを作成した。 2.母音定常部に対しての分析、及び話者識別実験 本年度は、日本語5母音発声時の気導音声と骨導音声の対数パワースペクトルの差分を特徴量として用いて話者識別実験を行い、詳細な検討を行った。クリーンな(雑音環境でない)環境下で収録した音声に対して話者識別実験を行ったところ、話者10名に対して93.0%の識別率が得られた。(昨年度は、エネルギー比のみを特徴量として85.0%) 3.数字音声の分析 音声を本人認証用の鍵として用いる場合、暗証番号などの数字音声を用いた話者照合や音声認識システムが必要・不可欠になってくることから、数字音声発声時の骨導音声と気導音声に対する分析を行い、話者照合・音声認識における有効性についての考察を行った。従来の音声認識システムでは、数字7の読み方を限定しない場合、著しく認識率が低下することと骨導音声が気導音声よりも雑音耐性に優れていることを実験によって確認した。 4.裏声の判別 骨導音声で裏声を判別することができた。なりすまし防止技術として有効と思われる。 来年度以降も引き続き、上記研究項目1〜4に関して、より多くの音声サンプルの収録を行い、詳細な実験・検討を行う予定である。
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