研究概要 |
本研究は,テクスチャ画像を構成するプリミティブ(基本微細図形)の特徴を記述する手法を確立するものである.本研究では,モルフォロジー(mathematical morphology)にもとづく記述手法を実現する.テクスチャは微細な図形(粒子)が規則的あるいは不規則的に配列されて形成された「模様」と考えることができ,それらの粒子を要約した基本的図形をプリミティブと呼ぶ.これまでのテクスチャ解析手法では,「画像AのテクスチャとBのテクスチャは同じである(異なる)」という分類結果を得る手法か,あるいはプリミティブの候補を既知として,対象のテクスチャが候補中のどのプリミティブから構成されるかを調べる手法がほとんどであった.これに対して本研究では,形状を記述する枠組みであるモルフォロジーを利用して,未知のプリミティブの形状を,候補から選ぶのではなく具体的に記述する. 本年度は,(1)複数種類のプリミティブをもつテクスチャについて,テクスチャをそれを構成する各粒子に分割し,各粒子をその特徴量にもとづいてクラスター分析法によってグループ分けすることで,「何種類の要素形状があって,それぞれがどんな形をしているか」を記述する方法,および(2)プリミティブが1種類の場合に,スケルトンを用いることにより,粒子のサイズ分布に依存せずにプリミティブを推定する方法,(3)推定されたプリミティブをもとに,粒子を配置する点を求め,配置点を削減することで,テクスチャを視覚的影響を少なくしながらデータ量を削減する方法,の3つを研究し,論文誌・研究集会で発表した. また,テクスチャをプリミティブから派生する粒子とその配置点で記述する方法を"Primitive and point configuration (PPC) texture model"と名付け,上記(2)の方法はこのモデルでのprimitiveの推定法と位置づけた.さらに,配置点の操作法である(3)を発展させて,配置点を確率過程モデルで表現することでテクスチャを操作する方法を現在研究している.
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