研究課題
今期前半は、本研究プロジェクトの最終年度として、論文"バースト誤り通信路に適した反復復号"執筆を中心に行った。この論文は本研究プロジェクトで得られた種々の成果(隠れマルコフ通信路に適した反復復号、2次元バースト通信路に適した反復復号法)をまとめたものであり、本研究の総括的な意味合いを持つ論文である。同論文は、平成17年2月号の電子情報通信学会論文誌に採録されている。また、本年度の後半では、今後の研究の新しい方向性を見いだす取り組みをいくつか行った。そのひとつとして、記憶性の通信路に適した符号化の問題が挙げられる。本研究では特に復号法に焦点を定めて研究を進めてきたが、復号特性を決めるのは復号法だけではなく、符号化も重要である。LDPC符号において、列順序を適切に定めるとそのバースト訂正能力を向上させることが可能であることが本年度後半の研究により明らかとなった。この成果は、電子情報通信学会情報理論研究会において発表済みであり、現在、国際会議に投稿中である。この方向の研究はまだ緒がつけられた段階だがひとつの有望な方向性が見いだせたと考えている。この3年間における本研究プロジェクトの総括を以下に述べる。当初、アイデアだけであった反復復号法と通信路状態推定器の組み合わせは、隠れマルコフ通信路、2次元バースト通信路、有色ガウス雑音通信路などの通信路で有効であることが本プロジェクトにおいて実証された。これらの成果に関連して他の研究者による関連研究が始まっている。このように本プロジェクトにおいて当初の目標である記憶性の通信路における復号法の開発と評価はほぼ実現されたと考えている。ただし、通信路パラメータの推定など残された問題もいくつかあり、これらに関しては今後引き続き継続して研究を進めていく必要がある。さらに、より高度な復号器を構成するには、学習理論など他分野との連携も必要になってくることが予想される。これらの課題は将来、研究されるに値する問題だと考えている.
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電子情報通信学会論文誌D-II Vol.J88-D-II No.2
ページ: 170-187
IEICE Trans.Fundamentals, A Vol.E86-A No.10
ページ: 2452-2460