研究概要 |
プログラム開発ソフトウェアを利用したコンピュータシミュレーションにより,階層構造化されたDT-CNNを用いて,外部デバイスからコンピュータに取り込まれたデジタル静止画像の符号化に関する実験および性能評価を行った.特に,従来のDT-CNNによる画像符号化では,Bテンプレートによるファイルタリングでの利用がほとんどであり,DT-CNNの特徴である時空間ダイナミクスが利用されておらず,Aテンプレートによるダイナミクスを有効利用した符号化性能の向上が求められている.そこで,まずは,階層化されたDT-CNNのダイナミクスによる最適な画像補間を利用した符号化について検討を行った.まず,入力画像は,階層型DT-CNNの構造により,各レイヤーごとにダウンサンプリングされる.さらに,Aテンプレートの重みの積和演算と各画素値とBテンプレートの重みとの積和演算による最適な予測を適用することにより補間画像が得られる.得られた補間画像と原画像との差分が伝送され,復号側では,符号化側と同様の階層型DT-CNNにより復号処理が行われる.本方式は,差分伝送型の符号化であるため,lossy符号化のみではなく,CNNの出力関数による差分信号の整数化により,lossless符号化も実現できた. また,本研究では,画像補間に最適なテンプレートの開発として,エッジ検出を利用した領域分割を行いその特性ごとに異なるAテンプレートおよびBテンプレートを選択することによる,新しい符号化手法についても検討を行った.
|