研究概要 |
マルチメディア移動体通信に適した帯域割り当て方式に関して、平成15年度は次の2つの課題について研究を行った。 1.ソフトハンドオフ環境での帯域割り当て方式の提案 昨年度の研究により,マルチメディア移動体通信における,接続基地局切り替え(ハンドオフ)時の通信切断を低減できる帯域割り当て方式を明らかにした.しかしながらこれらの研究は,基地局から無線電波が届く範囲であるセルの重複を一切考慮せず,端末が接続できる基地局の数を高々1とするハードハンドオフ環境に対して行われていた.実際の移動体通信では,複数のセルが互いに重複し,移動端末が同時に複数の基地局との接続を維持しながら接続基地局を徐々に変更していくソフトハンドオフ環境が多く用いられている.そこで本研究では、ソフトハンドオフ環境においてハンドオフ呼の切断を小さくする帯域割り当て方式を提案した.発呼を受けたセルの基地局は,発呼した端末が接続可能な全ての基地局に対して要求を行い,最も帯域に余裕のある基地局が端末の受付を行う.さらに定期的に隣接基地局同士で帯域使用状況などの信号を交換し,その情報に基づき端末の接続基地局を変更させる.計算機シミュレーションによる性能評価の結果、提案方式を用いない場合と比較して呼切断率を低減することができた。 2.ソフトハンドオフ環境に適した帯域予約方式に関する性能評価 1でおこなった研究ではソフトハンドオフ環境に適した帯域割り当て方式を提案した.帯域割り当てを効率よく行うには,ハンドオフ呼を優先して受け付けられるようにするために,適当な帯域予約方式を組み合わせることが必要となる.そこで,これまでハードハンドオフで提案されてきた帯域予約方式をソフトハンドオフ環境で用いた場合の性能評価を行った.その結果,ハードハンドオフ環境では影響に差が出なかったいくつかの方式に関して,ソフトハンドオフ環境では性能に有意な差が生じることが示された.また,新たにソフトハンドオフの性質を考慮した帯域予約方式を提案し,その有効性を計算機シミュレーションにより示した.
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