本研究課題では、直交系列とユニタリ行列から構成される四相ZCZ系列を研究対象とし、主にその構成方法についての研究を行った。まず、ZCZ系列に含まれる系列数と使用する直交系列の周期との大小関係により、二つの構成方法が存在することを明らかにした。また、これらの構成方法により得られるZCZ系列のZero-correlation zoneの長さが、使用する直交系列の周期とユニタリ行列の次元数によって決定されることも明らかにした。その結果、周期の長い直交系列を用いるほど、数学的上界に近いZero-correlation zoneを持つZCZ系列が構成可能であることが明らかとなった。なお、直交系列とユニタリ行列を用いるこれらの構成方法は四相ZCZ系列だけではなく、一般の多相ZCZ系列にも適用できる。このとき、使用する直交系列とユニタリ行列の位相状態数の組み合わせにより、得られるZCZ系列の位相状態数が決定される。 次に、直交系列の代わりにDFT行列の各行を用いる極めて類似した構成方法により、数学的上界を満たすZero-correlation zoneを持つZCZ系列が構成可能であることを明らかにした。この構成方法により、以前に報告されていない、新しいパラメータの組み合わせを持つ多相ZCZ系列を得ることが可能となった。 さらに、本研究課題で対象としたZCZ系列の構成方法と同様の手法を用いることにより、周期完全相補系列の一種である"変調可能な完全相補系列"の構成方法を拡張できることが明らかとなった。この拡張により、変調可能な完全相補系列の位相状態数を増やすことなく、その周期を増大させることが可能になった。
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