研究概要 |
CD,MD,最近ではDVDとディジタルオーディオシステムが目白押しである.ディジタルオーディオが我々にもたらしたものは歪みの少ない再生音を提供するということであった.しかし,オーディオシステムのヒューマンインターフェースともいえるスピーカは複雑な構造を有するためさまざまな歪みを最終的に発生してしまう.特にスピーカシステムは非線形性を有するため,補正が困難な非線形歪みを大量に発生する.この非線形歪みはDVD-Audioに代表されるハイサンプリングオーディオでは特に聴感上に影響を与えるとして問題視されている.また,近年ではパソコンのマルチメディア化により卓上タイプの小型のアクティブスピーカが普及しているが,このような小型スピーカは形状の制約から通常のスピーカに比べ大量の非線形歪みを発生する.以上のようにオーディオのディジタル化は進んでいるものの肝心のヒューマンインターフェース部分で多大な問題を抱えている.そこで,本研究では非線形ディジタル信号処理(特にVolterra級数に基づく信号処理)を利用してディジタルオーディオシステムの高品質化を目指している. 今年度はパソコンの演算能力を利用したソフトウェアによるスピーカの高品質化を実現した.その結果,一般ユーザが手軽に使える歪み補正用ソフトウェアを開発することにより安価で高品質の音環境を提供することができた.さらに,各種適応アルゴリズムの開発も行い高速で安定なアルゴリズムを実現することができた.また,携帯電話用スピーカのひずみ補正,ハイサンプリングオーディオ用スピーカのひずみ補正を行い,その有効性を実証することができた.
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