ディジタル磁気記録の高密度化に伴い、従来から同一トラック内の線記録密度の向上のため、同一トラック内だけの信号の波形干渉についての検討が行われてきた。しかし、今後、トラック密度の高密度化を考慮すると、トラック間干渉の影響が大きくなり、隣接トラックからの干渉の影響も問題となってきている。そこで、昨年度においては、まず、2トラック間においてトラック間の波形干渉の影響を受けないような記録符号を検討し、従来のPRML方式への適用を試みた。 昨年度の結果では、はじめに、従来の長手磁気記録の記録再生特性の場合を想定し、記録パターンとして互いのトラックにおいて逆位相が生じない符号を、従来のPRML方式へ導入できた段階までであったが、今年度は垂直二層媒体とMRヘッドを用いた垂直磁気記録の場合について検討を行い、「垂直磁気記録への2次元化アプローチ」として、2トラック間の波形干渉を考慮した場合に、トラック間の記録パターンを考慮しない方式に比べて、本研究で検討したパターンを適用した方が、トラック間干渉量が20%の影響下でもSN比余裕が約0.7dBあることを示すことができた。 最近のストレージ技術の高密度化に伴い、従来のPRML方式のみでなく、新たに通信技術の分野においてはターボ符号やLDPC符号が、また、記録方式としてもホログラム記録等の研究も始められている。本研究計画においても、現時点ではまだ成果を得るまでには至っていないが、これらの新しい技術の導入のため、研究計画に沿って、関連する資料をそろえ、同時に、昨年度購入の計算機環境を充実させるため、メモリの増設も行った。
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