トラヒックエンジニアリング(TE)の目的は、ネットワーク資源を効率的に利用することであり、さらにはそれと同時にユーザから要求される通信品質(QoS)を満足させることである。 本研究の目的は、ISP (Internet Service Provider)のバックボーンネットワークにおいてTEを実現させるためのフロー配置アルゴリズムを提案し、負荷平滑化(ロードバランシング)への効果を評価することである。 昨年度(平成14年度)は、(1)IPSバックボーンネットワークのモデル化および問題設定、(2)フロー配置アルゴリズムの提案、(3)アルゴリズムの性能評価、(4)成果発表、を行った。 本年度は、昨年度の内容を次のように発展させた。 まず、フローの初期配置のためのアルゴリズムを再検討し、新たなアルゴリズムを考案した。このアルゴリズムでは、すでに配置済みのフローを考慮してリンクの残余容量に基づいてリンクの重みを設定し、まだ配置されていない次のフローを配置する。 次に、昨年度に考案したアルゴリズムと本年度考案したアルゴリズムを総合的に再評価した。その結果、次のことが明らかになった。本年度考案した初期フロー配置アルゴリズムにより初期解を生成した場合、目的関数である最大リンク利用率はある程度低い値となる。それを初期解として解の改良を行った結果、昨年度に得られた解よりも良好な解が得られた。 ISPバックボーンにおいてエッジルータ間でフロー要求が既知の場合、本研究で考案したフロー配置アルゴリズムを用いてフローを配置することで負荷分散が実現されることが示された。
|