高速化・大容量化に対応した次世代の移動体通信基地局用超伝導フィルタの産業化を睨んだ高周波表面抵抗測定法の標準化整備を背景に、さらなる高分解能測定法の開発を進めている。近年の高性能超伝導材料の表面抵抗測定の際、その測定分解能が十分取れない原因として、(1)導体損<<誘電損となりQ値が誘電損でほぼ決定されてしまうこと、(2)Qが10^6〜10^7にも達し、微弱ノイズなどによる測定誤差が無視できなくなることがあげられる。これを克服する方法として、測定周波数をミリ波領域に高めることで(1)を解決できることを理論的に予測し、さらに(2)に対し、Mazierskaらが提唱しているサークルフィット法を応用し改善を試みることを計画した。この計画に基づき平成14年度は前者に関しての検討を行った。 まずはじめに、(1)を実験的に証明するため、異なる共振周波数のサファイアロッドを複数個準備し、高品質超伝導薄膜と組み合わせた誘電体共振器を構成し各誘電損失を評価した。その結果、理論的予測に対応した現象が見られた。この実験から、誘電損の小さい誘電体を選別法を確立し、誘電損の周波数依存性を利用することで測定精度が向上できることが明らかとなった。(研究発表論文1)またこの結果を受け、ミリ波帯での測定法へと発展させることに成功し、その有用性を示した。(研究発表論文3)この手法に対し、他研究機関からの試料測定依頼を受ける状況となっている。しかしながら、上記(2)の影響が排除できていないため、15年度にサークルフィット法を用いたシステムへと発展させる計画である。
|