研究課題
ニワトリヒナにおける心拍ゆらぎと呼吸との関連これまでの研究により新生児期に相当する孵化のニワトリの瞬時心拍数計測が行われ様々な心拍ゆらぎが発見された。申請者はそれらの心拍ゆらぎをおもに次の3タイプに大別した。すなわち、タイプI;呼吸性不整脈と思われる心拍ゆらぎ タイプII;体温調節、あるいは圧反射性と思われる心拍ゆらぎ そしてタイプIII;自律神経の亢進および減退に起因すると思われる心拍ゆらぎ、である。その後、それぞれの心拍ゆらぎの成因解明の研究を行ってきたが、本年度は薬剤投与による検証にくわえて呼吸性信号を直接計測することで心拍ゆらぎとの関連をより詳細に調べた。その結果、空気圧センサーとしてのコンデンサマイクロフォンにより呼吸性信号が容易に検出できることがわかり、卵殻をローパスフィルタとして鳴き声等の雑音をカットする簡易呼吸性信号計測システムの構築に成功した。呼吸性信号はタイプIと同期して変動したため、タイプI心拍ゆらぎは呼吸性不整脈であると確証するに至った。しかしながら、タイプIIおよびIII心拍ゆらぎと呼吸性信号には明確な関連は見られず、すくなくとも呼吸がゆらぎの成因にはかかわっていないことが立証された。さらに、この呼吸性信号を計測しているときに偶発的であったが体動に起因する信号を検出し、体動の検出システムとしても応用できることがわかった。その結果、タイプIII心拍ゆらぎが体動性信号と同期していることが明らかになり、その成因は交感神経の亢進か、何らかの生理的成因による体動による可能性が高いことがわかった。
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