研究概要 |
(1)微小回転角変位測定系の構成 定在波型マイクロ超音波モータを測定対象として,He-Neレーザと1次元PSD素子を用いて光テコを構成し,PSD素子出力をアンプ,A/D変換器,およびPI0ボードを介してPCに取り込むことにより,ロータの微小回転角測定系を構成した.精密な測定が行えるよう,装置は防振台の上に設置した.PCのOS(RT-Linux)のバージョンを更新することにより,制御プログラムのサンプリング周期をこれまでよりも短く(最小15μsec程度)設定できるようになった. (2)不感帯補償に基づくマイクロ超音波モータ駆動法の開発 当初,最小回転角変位および位置決め分解能の評価を予定していたが,本モータはステータの振幅が小さくなるとロータが停止する問題(不感帯)が強いことがわかった.この問題に対して,まず従来の不感帯補償要素を導入したところ,不感帯の問題は解決されたが,ロータ回転角度の応答が振動的になった.そこで,正逆回転用の2つの圧電素子を同時に加振して,ステータの突起を上下振動させることにより,不感帯の問題を解決し,なおかつ,静止状態から滑らかにロータを回転させる駆動法を開発した. (3)サンプル値制御に基づく高精度速度追従制御系の開発 (2)と並行して,進行波型超音波モータを対象として,高精度速度追従制御の検討を行った.その結果,連続時間H∞補償器を離散化する従来の方法では,制御結果が振動的になるのに対し,サンプル値H∞制御系では,制御結果が振動的になることなく,良好な制御性能が系統的に得られることを実験により確認した.この結果は,H∞制御に基づく位置決め制御系設計にも応用できると考えられる.
|