研究概要 |
本研究目的を達成するために平成15年度は以下の3項目に関して研究を行なった. 1.初期状態の不確かさを考慮したH_∞制御理論による磁気軸受制御系設計 従来のH_∞制御では考慮していなかった初期状態の不確かさに対してもペナルティを課す制御問題と設定することにより,外乱抑制と初期状態の不確かさ抑制の両方の特徴を持つコントローラの導出を行った.特にこの解の構成法と解の存在のための必要十分条件を導出した.さらにはこの結果を用いて磁気軸受制御システムに対して制御系設計を行なった.特に平成14年度の結果を発展させ,目標値変動に対してより良好な過渡応答特性を有する制御系を構築した. 2.制御実験によるロバスト安定性と過渡応答特性の評価 平成14年度に構築した実時間制御用のハードウエアと統合的な制御環境を用いて,改良したコントローラの実証試験を行った.従来法と比較することにより,提案法のロバスト安定性と過渡応答性能が優れていることを確認した. 3.ロバスト制御性能の改善を目指した「初期状態の不確かさを考慮したH_∞制御」 ロバスト安定性と過渡応答性能だけではなく,さらにモデル変動に対しても性能を保証するロバスト制御性能を保証する制御系設計法に関する研究を行った.これは我々が提案する初期状態の不確かさを考慮するH_∞制御にμ-シンセシスで用いられるD-Kイテレーションを利用した制御系設計法で,スケーリングを用いることで,ロバスト制御性能が向上することを実験的に検証した.またロバスト制御性能の指標として,構造化特異値μを用いて解析・評価を行った.
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