研究概要 |
シリアル通信路を介して構成される制御系をNCS(Networked Control System)という.NCSは,通常採用されるpoint-to-point接続による制御系と比較して,配線の少なさ,それにともなう配線やメンテナンスの容易さ,価格,信頼性などに優れており,自動車,プラント,航空機などにおいて用いられている. NCSにおける情報伝達はシリアル通信により行われるため,補償器が同時にアクセスすることができるアクチュエータおよびセンサの数は制限される.この通信容量制約はpoint-to-point接続では存在せず,NCS設計に独特な困難の1つである. 通信路の容量制約に対処する自然な方法は,使用するセンサ/アクチュエータを周期的に切替えることであろう.この考えに基づきセンサ/アクチュエータが周期的に切り替わる系の内部安定化問題が考察されている.しかし,従来研究で制御性能に関する議論はない. そこで本研究では,通信容量制約のある制御系に対して系の内部安定性に加えて性能を最適化する設計法を提案した.性能を適切に評価するために系をサンプル値制御系とみなし,L2誘導ノルムを準最適化する周期的な離散時間補償器が存在するための必要十分条件と補償器の構成法を示した.
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