研究概要 |
本研究課題は,環境認識システムとして超音波センサとCCDカメラを用いた自律型移動ロボットに対し,走行制御スキルをファジィ/ニューラルネットワーク複合システムにより進化的に獲得することを目的としている.平成15年度においては研究の第3段階と最終段階として以下の検討を行った. 研究の第3段階では,平成14年度に開発した走行制御スキルの進化的獲得手法の有用性について,実験結果の分析および考察により種々の検討を行った.まず,従来のシステムで獲得したオペレータの操作スキルとロボット自身の進化により獲得した走行制御スキルを比較し,その類似性より,本研究課題で提案した動的危険度と静的危険度が,走行制御スキルの進化的獲得において有用な評価基準であることを示した. 研究の最終段階では,環境認識システムとして主要設備の一つとして購入したCCDカメラを用いた画像処理装置を実装し,画像情報からオペレータの操作スキルを獲得する手法について検討した.また,ロボットの自己位置推定システムについても検討した.本研究課題において試作した小型自律型移動ロボットは,主要設備の一つとして購入した無線通信ユニットを搭載し,外界センサ(超音波センサとCCDカメラ)から得られる環境情報と制御信号を,ホストコンピュータ間で双方向送信できるようになっている.しかしながら,CCDカメラから得られる原画像情報を直接パソコンレベルでリアルタイム処理するのは困難であったため,ここではオペレータがロボットを操作可能な最低レベルまで画像情報を簡単化(二値化および低解像度化)した.そして,その情報を見ながらオペレータがロボットを操作したときの操作データ(時系列データ)を教師データとして獲得した.さらに,画像情報を入力データとする階層型ニューラルネットワーク(NN)により,オペレータと同様な状況判断を出力するようバックプロバゲーションアルゴリズムにより学習させた.オフライン学習により得られたNNを試作した自律型移動ロボットに実装した結果,良好な障害物回避行動および目標到達行動が実現できることを確認した.また,地磁気と超音波センサを利用した自己位置推定システムを提案し,十分な精度は得られなかったものの,絶対座標系における自己位置もある程度素推定可能であるという見通しを得ることができた. 本研究課題に対し,初年度で得られた成果は電気学会論文誌に掲載され,一定の評価を得た.今後は,最終年度に行われた研究成果も同様に学術論文としてまとめる予定である. 最後に,本補助金の援助を与えて下さったことに対し謝意を表し,研究成果の報告とする.
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