本研究では、エネルギー観点から高効率でしかも高いロバスト性を保証する自励駆動制御系の実現を目的とする。本年度は1つ入力しか持たない2自由度系システムに限定する。そのシステムは劣駆動であるため、その姿勢制御は一般に難しく、複雑な挙動をする興味深い制御対象として近年注目されている。本年度の主な研究成果としては、以下のものを挙げる。 1.エネルギー制御法による2リンクのアクロバットロボットの振り上げ制御則を開発した。また、リアプノフ安定性理論に基づき、閉ループシステムの安定性を解析し、そのエネルギー制御法によるアクロバットロボットの振動特性を解明した。 2.エネルギー制御法による並列型二重倒立振子を対象として、リアプノフ安定性理論に基づき、振り上げ制御システムのエネルギーの収束性を詳細に解析した。また、両振子の動きの安定性を不変集合の安定性の観点から明らかにした。これらによって、並列型二重倒立振子の振り上げ制御システムにおける両振子の動きを理論的に解明した。 3.ロバスト制御理論の中核としてのH∞制御理論を実世界の対象に適用するため、不安定な不変零点(虚軸零点等)を持つ制御対象のH∞制御問題に対して、その低次元制御器の解析的な設計法を開発した。さらに、ロボットに代表されるメカトロニクス系の2自由度のサーボ制御への応用を行って、その設計法の有効性を検証した。 4.初期角運動量を有する2リンク浮遊ロボットに対して、その加速度入力による姿勢制御の設計法を開発した。制御則における特異点は存在せず、収束は大域的に保証されることがその開発した制御則の特徴である。 なお、以上の成果に関する研究発表(発表予定を含む)は国際雑誌論文4編で、国際会議論文7編である。また、投稿中の論文として、雑誌論文と国際会議論文はそれぞれ2編である。
|