風力エネルギーは再生可能で環境を汚染しないという観点から米国や欧州諸国をはじめ、我が国でも実用化が推進されている。一方、風力発電機の入力は不規則に変動する自然風であるため、風車出力が変動してしまう。この結果、大容量の系統に接続した場合にはそれほど問題にならないが、離島などの小容量の系統に接続した場合には、電圧変動や周波数変動などを引き起こしてしまう。特に、日本では欧米諸国と異なり、複雑でかつ起伏の大きい地形に風車が設置されることが多いため出力変動が大きく、電力系統への連系上重要な問題のひとつとなっている。そのため、このような出力変動を抑制する制御法の開発が必要である。そこで、本研究では出力変動を抑制するための制御法としてフィードバックとフィードフォワードを併用した確率最適制御を提案する。 本研究では、提案する制御系の有効性を確認するために種々のシミュレーションを行った。この結果、時間領域および周波数領域において本制御方策の有効性を確認した。さらに、実測値を入力してシミュレーションを行ない、本制御法の効果を確認した。また、ウインドシェアの少ない離島や洋上での発電を想定してシミュレーションを行ない、さらに高い効果が得られることを確かめた。さらに、本制御系の動作点の変化に対する影響を調べ、多少の効果の差は見られるものの総じて効果があることを確かめた。以上の結果から、本制御系が系統連系時の電圧変動や周波数変動の抑制に有効であることが確認できた。 この他、東北地方の風況評価を行うために、津軽海峡を中心に各灯台から実測データの収集を行った。つぎに、収集したデータを元に風況の解析を行い、津軽海峡での各灯台での風速は相互に相関を持っていることが確認された。この結果、津軽海峡は風の通り道になっており、風力発電にとって良好な地域であることが示された。
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