研究概要 |
本研究は,月・惑星表面などの自然地形を自律的に移動するロボットの経路を確率的に生成する手法に関するものである.自然地形のセンシングには大きな誤差が含まれるため,ロボットが持つ周囲の地形は,遠くになるほど不正確となる.これまでに筆者が提案してきた自然地形における最適経路計画手法は,正確な地形図が得られることを前提としているため,実際の移動ロボットへの適用に問題が残されていた.この手法をさらに発展させ,地形図と最適化に用いる評価関数を確率表現することによって,最もエネルギが小さくなるであろう経路や最も安全であろう経路を生成させる.このため,本年度では以下の項目に関して研究を行った. (1)ステレオ視による誤差を持つ環境地図の生成 テンプレートマッチングを用いたステレオ視により周囲の距離画像を生成し,テンプレートマッチングの類似度等を利用して,距離画像の確からしさを数値で表現する手法を確立した.また,この距離画像を水平面を基準とした座標系に変換し,確率的地形図を作成した. (2)経路計画手法の拡張 (1)で作成した確率的地形図上で,評価関数を確率的に最適にする経路計画手法を提案した.この新手法は,これまで筆者が提案してきた自然地形の経路計画手法の自然な発展形である. (3)経路計画シミュレーション 実地形を用いて,(2)で開発したアルゴリズムを利用して経路を生成した. (4)ロボットの位置・姿勢計測手法の確立 次年度以降に備え,ロボットの移動経路を計測するシステムの開発に着手した.
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