研究概要 |
工学的応用を踏まえた高分解能かつ高精度な強震動情報を提供しうるシステムの構築を試みている.本年度は,全体仕様の検討,各要素技術の開発,本システムの応用に関する基礎検討を行った.本システムは,強震動計算ソフトウェア・波動計算のための地盤・地殻構造モデリングツールからなる.従来,強震動は立方体格子に基づいて計算される事が多いが,地表・地下幾何形状が複雑に変化しているところでは誤差が生じうることが知られている.この誤差の程度について,多くの数値実験を行い誤差のオーダー及び誤差の軽減手法について検討した.また,高分解能に強震動を計算するためには,高分解能な地盤・地殻構造が数値解析モデルを作成するために必要であるが,膨大なデータを取り扱うこと,地盤情報の瞬昧さなども考慮しなければならないため多くの困難がある.ここでは,膨大なボーリングデータを効率的に管理するために地理情報システムとボーリングデータベースを連成させたシステムを構築した.さらに,地盤の自動構造モデリングツールとこのシステムを連成させることにより,自動的に任意地点の三次元地盤構造を効率的に作成することを可能とした.強震動を効率的に高分解能に計算するためには,これらの要素技術を効率的に組み合わせて,用いることが肝要である.そこで,これらの要素技術をつなぎ合わせるプロトコルについて検討を行い,全体仕様の基礎的な検討を行った.また,本システムの応用として,高分解能な強震動情報に基づいて震災の評価を行う「統合震災シミュレータ」の開発のための基礎検討を行った.
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