研究概要 |
内陸の地下浅部で活断層が動いた場合に,断層近傍でどのような地震動が生じるのか,また,断層の破壊がどのように進展し,地表のどこにどの程度のすべりが起こりうるかについて明らかにすることを目的として,以下のような研究を行った。 断層近傍の地震動 1948年福井地震に関して,断層の破壊過程と堆積層での増幅過程を共に考慮することによって,被害域や構造物の転倒倒壊方向と調和的な地震動解析結果を示した。また,より精度のよい地震動予測に結びつけるために,地震観測波形から,断層面上に作用している応力の地震時の時空間変化を推定する手法を開発した。2000年鳥取県西部地震に対して開発した手法の適用を試み,震源の南東部から震源上の浅部にかけて応力降下が大きかったことを示した。さらに,地表面や地下構造の境界面と震源断層が斜交している場合に,断層面上の動的な破壊過程を考慮して地震動解析を行うために,差分グリッドと震源断層が斜交するモデルを用いて地震動解析を行い,その計算精度について検討した。 地震断層の破壊進展 断層変位に伴う表層地盤内の破壊進展に対する地盤材料の物性の影響を調べるために,表層付近に周囲の地盤と剛性・強度が異なる領域を設けて模型実験を行った。その結果,低剛性域に隣接した地盤では変位量が大きくなるのに対して高剛性域に隣接した領域ではひずみが大きくなるなど,剛性の違いによって周辺の地盤の変形形状にも違いが現れ,それに伴って,形成される破壊面(すべり面)の形状も異なってくることを示した。
|