研究概要 |
本年度は,制震部材の導入を行うにあたって,まず制震部材を導入する前の状態の詳細解析を行うことに重点をおいた.本年度構築された解析モデルを基に次年度,制震部材の導入方法を検討することになる.以下に,本年度に得られた成果をまとめる. (1)地盤との連成も考慮した形で橋梁システムの地震時挙動を把握するための解析モデルを作成し,地震動が入力した際の地盤内の発生加速度の性状を把握した.その際に,橋脚の構造諸元および地盤の物性値を種々に与えて,パラメトリックスタディを行い,特に,地盤物性値,地盤の減衰定数におおむねの設定値を定めることができることを解明した. (2)上記,解析結果により,平均的に地盤物性値に対して,地盤の減衰定数は15%程度とするのが最適であり,これは現行の道路橋示方書に準ずる値である. (3)次に,地盤に不整形性を考慮すべく,連続橋梁付近の地盤に模擬的に地盤構造の変化を与えた.3連続橋の右側橋脚付近にやや剛な地盤を近づけることにより,橋脚の応答が変化し,地盤との動的相互作用および橋脚間の動的相互作用を考慮した地震時挙動を解明するに至った. (4)上記右側橋脚は,その他の橋脚に比べ非常に大きな応答を示すことが判明した.そこで,本研究の課題である.制震部材の導入として,座屈拘束ブレースを橋脚頂部付近に導入することで,応答値の増減を検討した. (5)制震部材の導入によって,応答値の低減効果は確認されたが,まだ,必要とする低減効果に対する的確な効果を得るには至っておらず,次年度は,設計法を主体とした制震部材の導入方法を検討することになる.
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