研究概要 |
鋼・コンクリート二重鋼管合成部材(以下,DCFTとする)とは,2つの径の異なる鋼管を同心円上に配置し,それらの間にコンクリートを充填したものである.これにより,従来のコンクリート充填鋼管柱(以下,CFTとする)と比較して軽量となり,地震による慣性力を減少させることができるため,DCFTは山岳地帯などの高橋脚への適用が可能であると考えられる. 本研究ではDCFTの強度特性を把握するための基礎的研究として,径厚比(D_o/t_o)およびDCFT特有の内径・外径比(D_i/D_o)を実験変数とした中心圧縮実験を行い,得られた破壊形式,中心圧縮強度,変形特性ならびに内外鋼管の応力状態から考察した.なお,使用した供試体は鋼管厚,内鋼管径が異なる合計12体である.得られた実験結果より,結論づけられる事項を列記すると以下のとおりである. (1)得られた破壊形式は,コンクリートがせん断破壊することによって内鋼管,ならびに外鋼管に局部座屈をもたらした. (2)DCFTの初期剛性はCFTとおおむね同等のものが得られた.また,最大耐力到達後は3.5%変位でその70%以上を保持していた. (3)DCFTの中心圧縮強度は,CFTで用いられる累加強度式によりおおむね評価できた.しかしながら,内鋼管径が大きくなるにしたがって,拘束効果の低下する傾向が窺えた. (4)内鋼管の周方向応力(σ_θ)は,充填コンクリートが体積膨張を起こしたことにより,軸方向応力(σ_z),が降伏応力に到達後,圧縮方向に発生した.
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