本研究は、砂のような粒状体の直接数値計算法である個別要素法(Discrete Element Method ; DEM)において、複雑な不規則粒子形状を直接モデル化(イメージベースモデリング)して計算する手法を確立し、その定量評価を行うこと、および地盤工学の分野で共通に用いられている標準砂の3次元粒子形状モデルのカタログを作成し、それを多くの研究者の間で共有化・標準化することで、この分野での研究の発展に寄与することを目的としている。本年度の研究成果を以下に示す。 (1)SPring-8での標準砂3次元形状取得 放射光施設SPring-8におけるマイクロX線CTシステムを利用し、各国の標準砂(豊浦砂、Ottawa砂、Hostun砂、SLB砂)のゆるづめ試験体を撮影した。得られた再構成画像は粒子の大まかな形状を把握するのに十分な解像度を有しており、これ自体非常に重要な成果物である。更に、これらの画像を処理して個々の粒子形状を自動判別するアルゴリズムの開発を行った。これにより粒子の形状のみならず、接触点の情報なども取得可能となり、粒状体の微視構造を研究する上での価値ある基礎データを取得することが可能となった。 (2)不規則形状3次元DEM要素試験と実験結果との定量比較 不規則形状粒子のイメージベースモデリングに基づく3次元DEM単純せん断シミュレーションを行い、中空ねじりせん断試験結果との定量比較が可能であることを示した。 (3)SPring-8での標準砂のマイクロ3軸圧縮試験 イメージベースDEMを更に詳細に検証する目的で、SPring-8において豊浦砂、SLB砂のマイクロ3軸圧縮試験(供試体径:4.3mm、高さ10mm)を行い、せん断に伴う3次元粒子運動の可視化を行った。(4)デジタル標準砂データの公開 今後、得られた粒子形状データ等の検証を行い、webなどで随時公開していく予定である。
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