本年度は砂質地盤の締固め改良メカニズムの解明と効果の検討を行い、以下の点を明らかにした。 (1)締固め改良メカニズムの解明 平成14年度までに、ゆるい砂から密な砂までの圧縮・せん断挙動を統一的かつ合理的に説明できる弾塑性構成式を開発している。本年度はこの構成式を用いた水〜土連成計算によって、砂杭の拡径と除荷の繰返しによって行われる砂質地盤の締固め改良の過程を忠実にシミュレートし、ゆるい砂質地盤の締固めメカニズムについて調べた。この結果、ケーシングの押込み・引抜きが順次繰り返される砂杭造成過程においては、ケーシング押込み時の地盤の拡径過程によるゆるい砂の構造低位化・大圧縮と、ケーシング引抜き時の除荷過程の繰返しによる過圧密比の増加・蓄積によって砂地盤は改良されることが明らかになった。また締固め施工時には異方性がめまぐるしく変化することも明らかになった。 (2)締固め効果の検討 砂質地盤の締固め効果は、締固めの前後における砂質地盤の非排水せん断挙動の比較、砂質地盤とケーシング・砂杭間の周面摩擦力関係、側圧係数の変化を算定することによって検討した。その結果、ゆるい砂質地盤は、非排水せん断特性の著しく改善されること、現行の施工機械で容易に締め固める様子も明らかになった。過圧密比が大きい地盤に対して砂杭拡径による締固めを実施すると、締固め効果は小さく、ゆるい砂地盤に比べて施工に大きな力が必要になる (3)締固め効果に及ぼす諸要因の解析的検討 砂の構造の低位化速度、過圧密の解消速度に着目し、締固め効果に及ぼす影響を調べた。構造の低位化速度を遅くする、または過圧密の解消速度を速くすると、締固め効果が小さくなる。構造の低位化速度、過圧密の解消速度は締固めやすさを反映していて、細粒分含有量(粒径や粒度分布)などの物理定数と関連性があると考えられる。
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