研究概要 |
1.地盤内に発生する過剰間隙水圧の早期消散を目的とした液状化対策工法として,透水性の高い砕石を地盤内に設置するグラベルドレーン工法が提案されている.本研究では,廃タイヤを破砕したタイヤチップを砕石の代用材料として活用することを目的として実験的検討を行った.模型振動実験を行い,タイヤチップによる過剰間隙水圧消散効果を調べた結果,タイヤチップの高い透水性能による水圧消散効果は確認できたが,砕石に匹敵する効果は得られないことを明らかにした. 2.前述の水圧消散効果の低減要因を明らかにするため,タイヤチップによる地盤改良部に上載荷重を加えた模型振動実験を行った.その結果,地盤が大きな地震力を受けるとタイヤチップの粒子構造が不安定となり,タイヤチップ層内でも過剰間隙水圧が生じることが確認された.そのため,タイヤチップ層と飽和砂地盤で発生した過剰間隙水圧の動水勾配が小さくなり,水圧消散効果が低減することを明らかにした.この要因として,タイヤチップは砕石に比べて密度が小さく弾性があり,また粒径が大きく改良体として形成した時の間隙が大きいことが示唆された. 3.タイヤチップの活用法として砕石との混合材料として利用する方法を提案し,その効果を確認する模型振動実験を行った.その結果,タイヤチップと砕石の混合割合を重量比で1対7程度にすることにより,砕石単体と同等の液状化対策効果を示す可能性を明らかにした. 4.米国におけるリサイクル材料の土木分野への活用事例を調査するため,ロサンゼルスにある地盤調査会社グループデルタコンサルタントと南カリフォルニア大学等を訪問した.その結果,米国におけるタイヤチップの活用事例に関する資料を収集しその詳細を明らかにした.また,上述の模型振動実験に関する研究結果のプレゼンテーションを行い,多くの研究者および技術者と有意義な意見交換をすることができた.
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