研究概要 |
・気象モデルMM5と海洋モデルPOMをLinux上のシェルレベルで結合し,伊勢湾大気海洋結合モデルを構築した.これにより海面を通した運動量や熱,水蒸気の逐次的な交換及びその過程におけるフィードバック効果を考慮することが可能になった.海上保安庁と京都大学の共同海洋観測データによる検証から,流速についてはRMS誤差10cm程度,相関係数0.6前後の計算精度であることが示された.また海面付近で計算精度が落ちることが明らかになり,砕波等の影響を考慮した海面付近の運動量伝達過程の定式化が来年度以降の課題として残された. ・海上風の計算精度の検証及び改善を目的として,2001年7月から9月までの3ヶ月間,伊勢・三河湾沿岸の4地点において京都大学防災研究所所有の車載型ドリプラーソーダを用い接地境界層内の風観測を行った.この観測データに基づき,1kmの解像度における気象モデルの風の計算精度は,地上高100mでバイアス約15%,RMS誤差約30%,相関係数0.85であった.また,3kmと1kmの解像度の比較から,解像度の向上と共に風速・風向の計算精度が向上する事が示された. ・中部・近畿地方をカバーする領域において,2001年4月から2002年3月までの1年間にわたる3km格子,20層の気象場のデータベースを完成させた.このデータベースは,風,気温,気圧,湿度,降水量,日射量,雲物理量等を収納している.今後は,この広域気象場データを境界条件に用いることで,1kmの解像度を持つ伊勢湾大気結合モデルを運用していく予定である.
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