研究概要 |
論文1では,つくば市における3地区を対象として,街路の安全性評価を「危険事象」を用いて特性把握を行った.分析にあたっては,アンケート調査を用いて住民の意識に着目した個別危険事象の抽出方法に関する検討では,危険事象に至る経過や要因を指摘するアンケートであったが,高齢者からの回収も確認できた.また,指摘された危険事象から,通行時の認知が大きな割合を占めること,危険事象の類型では,住民は各地区ともにほぼ同様な事象を体験しているが,その事象を構成する要因に,地区別に差異が見られた.区画整理された街路においても路上駐車など可変的要因により,危険との評価が大きくなされるとともに,不十分な道路維持管理により歩行者にとってサービス水準が低下するケースが見られること,区画整理の外周部などでは旧来の利用形態と齟齬をきたさないよう留意する必要があることが明らかとなった. また,論文2ではセーフティーレコーダーを用いた車両挙動データの取得方法とそのデータの整備の方法を考察した。そして、そのデータを用いた車両挙動特異地点の抽出方法についても明らかにした。分析においては、車両走行や特異地点の発生に属性間の差が存在した。特異地点と事故との間の関係については地理的な重なりも見受けられた。しかしながら、サンプル数の不足、道路幾何構造と特異地点抽出との関連性分析、実事故との詳細な比較分析、特定区間における全通行車両に占める特異走行車両割合の分析などが今後の課題として挙げられる。
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