研究概要 |
1.環境問題への最適経済成長理論の適用に関する既存研究の整理 道路あるいは自動車に起因する環境問題を取り上げる前に,まず,現在までに最適成長理論を用いて環境問題を検討している既存研究の整理を行った.そこでは,環境問題を(1)枯渇性資源管理の問題,(2)外部不経済問題の大きく二つに分け,既存研究を整理できることを示した. また,その結果から,本研究で扱おうと考えている,道路あるいは自動車に起因する環境問題は,基本的には外部不経済の問題であるが,しかし,例えば地球温暖化の問題等は不可逆的な要素があると考えると,枯渇性資源管理問題で出された知見も重要となる可能性のあることを明らかとした. 2.自動車交通に起因する環境問題解決のための最適経済成長モデルの開発 既存研究の整理を受けて,本研究で目的としている自動車交通に起因する環境問題に対応する上で,道路投資と環境技術開発への投資との最適バランスを検討するための最適成長モデルの開発を行った.これらのモデルから得られた理論的知見は,現状の道路投資は,将来の最適水準から見ると過大投資の傾向となっており,環境問題への配慮を考えた場合,環境技術を高めるような投資を行っていく必要のあることが示された. しかし,具体的な施策の提言にまでは踏み込めておらず,来年度,本モデルを用いて数値シミュレーションを実施していく予定である.
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