本年度においては、地球規模水文解析モデルとして、アメリカ気象研究センター(NCAR)によるCommunity Land Model(CLM)を改良し、富栄養化解析モジュールとの融合を試み、いくつかの湖沼において計算の実施を行った。また、世界的な湖沼を含む淡水系の水質モニタリングについて情報を収集するため、カナダ内水面センターにて国連環境計画・地球環境監視システム・淡水部門(GEMS/Water)の技術諮問会議に日本政府代表として参加をし、世界各国における水質汚染や富栄養化の問題について議論に加わった。またその情報を本研究に活用するためにGEMS/Waterデータベースとの情報交換などについても申請を行ったが、残念ながら現在のところ毒性プランクトンによる危機を網羅したデータベースはGEMS/Water内部には存在しないが、地球流出解析システム(GRDC)による河川からの流量情報や、GEMS/Waterによる基礎水質項目などをもとに推定することが可能なことが判明し、最終年度における成果につなげる予定である。また、世界各国のダム湖におけるアオコ発生等の情報収集を行うための国際ネットワークとして、国連環境計画によるダムと開発プログラム(UNEP-DDP)を通じた情報収集を行った。また、琵琶湖における富栄養化モデルと、琵琶湖北湖への栄養塩流入によるアオコ発生について数値解析とデータ収集を行い、琵琶湖北湖への特定流入河川が琵琶湖の富栄養化に与える影響を推定できるように数値モデルの改良を行った。
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