最終年度である平成16年度は、電力中央研究所らが参画している文部科学省「人・自然・地球共生プロジェクト」で行っている地球温暖化のモデル結果を本モデル上にて適用することを検討し、一定の成果をおさめた。また、琵琶湖において11月に現地観測を行い、琵琶湖において年々冬期の水温が高くなっている現象と、11月末において琵琶湖北湖中央部においてアオコ(Microcystis Aeruginosa)が生息している事を確認した。本結果は非常に重要なものとして現在学術学会誌への投稿を準備中である。 また当初予定していた南米の貯水池の調査であるが、残念ながら最終年度の平成16年度中には調査することかできず、来る平成17年4月1日よりブラジル/アルゼンチンに渡航するため、その折に情報収集を行う予定である。特に今回検討しているのは、ラプラタ川流域における気象変化の影響が流量や生態系にどのような影響を与えるか、詳細に評価する事である。また、現地におけるアオコ毒による被害状況について詳細な報告が期待される。 世界的な情報収集に関しては、研究期間中に異動等があり予定より遅れをとったが、日本国内における現地観測、特に琵琶湖において温暖化の証拠、それに伴う湖流の変化、毒性プランクトンの発生状況等について詳細な調査を行う事ができた。 また、NCARにより作成されたCommunity Land Modelを改良し、表面水に関する流量だけでなく水質についての情報を処理し、計算する事が可能となった。これらの結果を、電力中央研究所らの協力をえて流量のみGRDCデータと比較し、再現性についての検討を行った。水質については、昨年度参加したGEMS/Waterにおけるデータベース情報との関連性を検討し、5月にウイーンで開催されるGEMS/Water技術諮問会議(TAG Meeting)にて発表する予定である。 また、今年度海外においてできるだけデータ収集を行い、当初目的とした世界規模での毒性プランクトンのデータとの比較検討を行った末、世界湖沼会議等の場で研究成果発表を検討している。
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