研究概要 |
本研究では,石川県の犀川流域を対象地域として選定し,大気・土壌・水および生物等の各種環境媒体のダイオキシン類縁有機臭素化合物の他,(塩素化)ダイオキシン類やダイオキシン類縁有機臭素化合物生成の原因とされる臭素系難燃剤について総合調査行うのが目的あった。 ダイオキシン類および有機臭素化合物の一括分析手法について,実試料を用いた予備調査によって最終的な調整を行った。ダイオキシン類・ダイオキシン類縁有機臭素化合物の分析では,GC/MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析)による一括分析への拡張を行った。 臭素系難燃剤の分析では,LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析法)を用いた分析の簡易化を行った。河川水などの比較的,清浄な試料については,溶媒抽出法,カラムクロマトグラーフィおよびゲル浸透クロマトグラフィーなどを組み合わせた抽出・濃縮・精製方法とODSカラムを用いたLC/MS法を組み合わせた分析方法が完成し,臭素系難燃剤であるテトラブロモビスフェノールA,ビスフェノールA,テトラクロロビスフェノールA,ビスフェノールA,ビスフェノールB,ビスフェノールF,ビスフェノールSの計6種のビスフェノール類の一斉分析が可能となった。しかしながら,水環境底質や土壌中からの抽出およびクリーンアップに関しては完成することができなかった。 また,水の塩素消毒により塩素化ダイオキシン類が生成していることは古くから知られているが,近年,下水を臭素により消毒する方法が試みられている。そこで,水の臭素消毒における有機臭素化合物の生成についても検討を行った。下水中のハロゲンイオン濃度が反応に関与することが示唆された。 以上をまとめると,研究の最終目標は達成できなかったが,目標達成に必要な分析方法の開発や関連物質の生成プロセスに関する知見が一部明らかになった。
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