2次元個別要素法プログラムを作成し、各種シミュレーション手法のパラメータを参考にしながら、木造2階建て建物の破壊シミュレーションを行う事を目的とするが、本年度は、その前段階として、主に、地震時の負傷・死亡を含めた人的被害の数値尺度(傷害度スコア)の整理を主に行った。これまでに実施してきた、建物破壊パターンと死亡発生との関係を拡張し、負傷発生までをも考慮して解析を行う為には、人的被害の数値尺度上での整理が不可欠となる。そこで、法医学、災害医学の研究者との研究討論を基に負傷-死亡を同列に扱える傷害度スコアを構築するための議論を行った。次に傷害度スコアと建物破壊パターンの関係の統計的解析を試みるため、傷害度スコアを用いて、申請者が既に死亡率と破壊パターンの関係を明らかにした神戸市(1995年兵庫県南部地震)で、負傷・死亡者の数値化を行った。申請者がこれまでに構築してきたデータベースは震度、建物属性、建物被害、及び死亡者発生に関するものであり、ここでは負傷者を新たに建物とを地理情報システムを用いて関連づけデータベースを拡充した。このデータベースを基に、建物破壊パターンと傷害度スコアとの関係を統計的処理により明らかにする事を試みた。資料の制限より、明確な傾向が導出出来なかったものの、今後の展開が期待出来る結果が得られた。上記に並行し、個別要素法解析システムを利用し、試作したプログラムを実行することで、建物被害パターンの形成に関する議論を行った。
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