自然風に近い乱流構造が再現できる"風の数値シミュレーター"の開発研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14750470
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 曹 曙陽 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (00334532)
• キーワード: 強風乱流 / 数値シミュレーション / 地表面粗度 / 自然風 / 大気安定度

研究概要

本研究の目的は、地表面粗度や大気安定度の変化に対応でき、且つより自然風に近い変動流入風を作成できる"風の数値シミュレーター"の開発である。これは大気乱流境界層の性質を表す乱流統計量の空間分布のほかに、大気乱流境界層に含まれている瞬間的な乱流構造も再現できるものである。
本年度で以下の研究を行った。
1.異なる地表面粗度に対応する乱流境界層のシミュレーション
異なる地表面粗度に対して乱流境界層を生成する際、その地表面粗度に対応したラフネスブロックを計算領域に入れて、Lundの準周期条件を用いて空間的に発達する乱流境界層をシミュレーションした。一様ラフネスブロック配置とランダム配置という2種類のラフネスブロック状態を考え、ラフネスブロックの配置状態やラフネス密度による乱流境界層の性質の変化を調べている。また、数値シミュレーションの結果を検証するために風洞実験を行い、乱流境界層の統計量を計測した。
2."風の数値シミュレーター"を開発するためのデータの取得
熱の効果も含まれた乱流境界層の風洞実験を実施し、安定・不安定の大気乱流境界層の乱流構造を把握し、乱流強度などの統計量を計測した。都市部を想定した地表面としてラフネスを配置した平板上の風洞実験を行った。外部からの熱的擾乱とラフネスブロックによる機械的擾乱を組み合わせることにより、それぞれの効果のバランスについて検討している。得られた結果をモデル化し、"風の数値シミュレーター"に入れ込む。

研究成果

• [文献書誌] Tetsuro TAMURA, Shuyang CAO: "Study of unsteady wake flows over a hill for the oncoming boundary-layer turbulence"Proc. Engineering Turbulence Modeling and Experiments 5. 237-246 (2002)
• [文献書誌] Shuyang CAO, Tstsuro TAMURA, Koujiro NOZAWA: "Turbulence statistics in rough-wall boundary layer and their relations to block roughness density"Proc. Aps 55th Annual Meeting of the Division of Fluid Dynamics. 47. 166 (2002)
• [文献書誌] Koujiro NOZAWA, Tstsuro TAMURA, Shuyang CAO: "LES study on streamwise spatial variation of turbulence in rough-wall boundary layer"Proc. Aps 55th Annual Meeting of the Division of Fluid Dynamics. 47. 55 (2002)
• [文献書誌] 海老澤明寛, 曹曙陽, 坪倉誠, 田村哲郎: "床面温度を局所制御できる温度成層乱流発生装置の開発"日本流体力学会年会2002講演論文集. 340-341 (2002)