研究概要 |
1.鉄筋コンクリート(以下、RC)構造物を対象とした、一質点系の三軸地震応答解析を行った。解析には、研究代表者が日本建築学会構造系論文集(第560号、2003年、pp113-120)に発表した三軸非線形復元力モデルの剛性評価を修正し、軸力変動に対応できるようにした修正モデルを用いた。このモデルは、ラーメン構造に代表される曲げ型と、ボックス型耐震壁に代表されるせん断型の非線形復元力特性を、それぞれ三折線にモデル化し、塑性論との類似性を利用して三軸に拡張したマクロモデルである。集集(1999)、神戸(1995)、El Centro(1940)の3つの地震データを用い、構造物の固有周期をパラメータとした解析の結果より、次の結論を得た。 (1)水平方向の地震荷重を評価する際には上下方向の地震動は考慮しなくてもよい。 (2)上下方向の加速度応答の結果は、300〜1,100cm/sec^2の範囲で得られ、特に、神戸の地震データによる結果は、重力加速度を超える場合があった。 (3)構造物への総エネルギー入力は、初期剛性による周期と剛性低下後の剛性による周期との平均値を用いると、弾性応答解析結果より評価し得る。 2.RC柱試験体の三方向加力実験装置の開発に成功し、実験結果を検討した。この実験装置では、柱脚を水平に固定させ、柱頭の三軸の回転を拘束し、柱頭の三方向の併進のみ許容することで、柱試験体に二方向の逆対称曲げせん断力と変動軸力を作用させることを可能とした。実験結果より塑性論を利用した復元力特性定式化に関わる検討を行い、次の結論を得た。 (1)復元力特性は直交方向の載荷履歴の影響を受けない。 (2)部材の降伏後の負荷において、塑性論の流れ則と実験結果が類似する。
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