本研究では、今回の申請期間である3年間で、高濃度サスペンションの基本的なレオロジーモデルの構築を完了することを目的としている。レオロジー性質のモデル化を行う際には、測定方法の選定が非常に重要となる。これに対して本研究では、これまでの研究結果を基に、試験方法としてせん断ボックス試験を採用し、より高精度な測定を実現するため、同試験装置の改良を本年度の目標として研究を進めてきた。 以下に本年度に行われた研究内容と得られた結果を示す。 1.高せん断ひずみ用せん断ボックス試験装置の試作 小型の鉛直型せん断ボックス試験装置を試作した。本装置は、これまでの装置と比較して最大ひずみが1.8倍程度に増加し、また作業性や動作の自由度なども改善されている。均質粘性体を試料として、B型回転粘度計の測定結果と比較することにより、本装置の測定結果の妥当性の検証を行った。その結果、均質粘性体の測定に関してはほぼ正しい値が測定できることを確認した。 2.モデル材料を用いたせん断ボックス試験 モデル材料を試料としたせん断ボックス試験を行い、サスペンションに対する本装置の適用性に関して検討を行った。その結果、モデル細骨材を用いたサスペンションでせん断ひずみ依存性が確認され、サスペンションに対しても適用可能であることが明らかとなった。 3.標準砂および軽量粗骨材を用いたせん断ボックス試験 比較的性状の把握が容易な高濃度サスペンションである飽和標準砂を試料としてせん断ボックス試験を行い、そのレオロジー性質と試験装置の性能を検討した。その結果、正のダイラタンシーと液状化といった高濃度サスペンショシ特有の性質が観察された。
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