研究概要 |
軽量骨材や再生骨材など普通骨材に比べて,内部組織が多孔質な骨材(以下,多孔質骨材)を用いたコンクリートの品質管理,製造方法などの材料設計手法を確立することを目的に,この種の骨材およびこれを用いたコンクリートについて実験検討を行った。本年度は,骨材の特性が及ぼすコンクリートの硬化性状への影響を検討するため,各種骨材について内部空隙構造,吸水特性(吸水率・経時変化),骨材強度等に関する試験を行い,この結果と多孔質骨材を用いたコンクリートの圧縮強度,ヤング係数とを比較した。 研究の結果をまとめると以下のとおりである。 (1)骨材の種類ごとに細孔構造測定,骨材破砕試験,吸水試験等を行った結果,骨材の種類によって内部空隙構造が異なるのみならず,粒形や粒径によっても大きく影響を受けることを明らかにした。特に,骨材の製造方法に起因する表面のシェルの有無によっても骨材強度や吸水特性は大きな影響を受け,骨材表層にシェルを有するものほど内部が粗でも骨材強度や吸水率は小さくなることが分かった。 (2)多孔質骨材を用いたコンクリートの圧縮強度およびヤング係数について実験を行った結果,この種のコンクリートの圧縮強度については,骨材の吸水率・強度(破砕値)等によってある程度の相関は認められるが,一義的な関係にはなく,例えば,コンクリートの圧縮強度が40N/mm^2程度のとき,骨材の内部組織が粗でも,吸水率が6%以下であれば骨材種類等による影響は認められない。 (3)一方,コンクリートのヤング係数については,骨材の内部空隙量や吸水率と圧縮強度は直線的な関係を有し,骨材内部組織が粗なものほどコンクリートのヤング係数は小さくなる。また,コンクリートのヤング係数は,細孔構造の測定などの煩雑な試験を行わなくても,吸水率を測定することで十分に推定することが可能である。
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