今年度は、並列構造解析の基盤技術を確立することを目的として、以下の手順で研究活動を行った。 1.PCクラスタのハードウエア構築技術: 将来的には、数百大規模のPCクラスタを構築することを前提としており、経費を節約するためには、自作PCの利用が必要となる。そのため、PCクラスタに必要な機能を検討し、これを実現する最小限のハードウエアによるクラスタノードを設計した。プロトタイプとしては、16台規模のPCクラスタの実現した。ここでは、ブートデバイスを持たないノードの構築、ディスプレイデバイスを持たないPCの構築、などを検討した。 2.並列計算機構のソフトウエア構築技術: PCクラスタによる並列処理では、単体PCの性能が著しく高くなくても、台数を増加させることによる、スケーラビリティーを実現する必要がある。そのためには、PCクラスタの各ノードに、OS(今回はLinuxを採用)、並列計算機構(今回はMPICHを採用)をインストールする必要があり、PCクラスタコンソーシアムが提供しているSCoreを利用した。これにより、各ノードへの上記ソフトウエアの導入が非常に容易に行えるようになった。 3.並列処理支援ソフトウエアの活用技術: 並列処理を行うには、通常MPIなどの並列処理ライブラリを用いて、各自が必要なアプリケーションを並列化することが必要となる。しかしながら、応用目的の利用者にとってこの作業は非常に時間と手間を必要とし、並列処理導入の大きな障害となっている。これを解決するために、産業技術総合研究所が提供しているPCP(並列計算プラットホーム)を利用することにし、これによる構造解析アプリケーションの並列化技術を開発している段階である。プロトタイプについては、並列化への設計を完了している。
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