今年度は、並列構造解析の基盤技術および応用技術を確立することを目的として、以下の手順で研究活動を行った。 1:1CD-Linuxを用いたグリッドコンピューティングシステムの構築 並列構造解析の基盤技術の1つとして、教育用計算機群をグリッドコンピューティングのノードとして利用するための、1CDで起動するLinuxとしてKNOPPIXを採用し、これにグリッドシステムのミドルウェアであるSunONEGridEngineを統合したオリジナルシステムを開発した。これを用いることにより、通常はWindowsPCとして利用するPCを遊休時間に限って、グリッドノードとして利用可能にした。これより、128台での大規模グリッドを構築し、数値解析の性能向上を検討した。その結果、1台のPCで180時間必要な解析を、128台のPCを用いて1.5時間で終了することを確認した。ほぼ、台数倍の性能向上となった。 2:PCPを用いた並列構造解析プログラムの開発 構築された並列計算環境上で動作する並列構造解析プログラムの開発は、一般の技術者にとって、高度な技術と複雑な作業を必要とするため、非常に難しいものとなっている。そのため、並列計算環境の性能が十分に生かしきれていない問題がある。そこで、パラレル・コンピューティング・プラットホーム:PCPを用いることによって、ソースプログラムに簡単な修正を行い、並列化ライブラリを導入するだけで、並列化を実現することを確認した。次年度の研究において、実用的な構造解析アプリケーションの並列化を試みる計画である。
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