| 研究概要 |
本研究は、製紙スラッジ焼却灰(以下PS灰と略記)のコンクリート混和材料としての有効性を調べることを目的としている。平成14〜15年度にかけて,PS灰を混合したセメントの物理試験を行い,結合材としての凝結特性,長期安定性,強度発現性を調べた。また,PS灰の化学成分分析試験,モルタルの流動性,曲げ・圧縮強度の試料間変動,PS灰混入コンクリートの強度発現および乾燥収縮性状について実験を行った。以下に現在までの結果を示す。
1)PS灰を混入したセメントの凝結試験より,セメントに対する置換率が増加すると始発時間・終結時間が長くなった。
2)煮沸法による安定性試験の結果,膨張生ひび割れば認められず,長期安定性に問題は見られなかった。
3)成分分析試験の結果,塩素の含有が認められたが,塩分含有量の測定を行った結果,許容値以下であった。
4)PS灰混入モルタルの流動性試験と曲げ・圧縮強さ試験の結果,PS灰原粉と75μm篩いを通過する細粒粉および篩い残留する粗粒粉では,同一置換率の下で細粒粉を用いたモルタルの流動性は増加する傾向を示し,強度発現も大きくなった。また,粒度調整を行うことで強度の変動が小さくなった。
5)PS灰混入コンクリートの圧縮強度試験の結果,置換率に関係なく普通コンクリートと同等以上の強度が得られた。単位水量一定の下では,PS灰混入率の増加とともにAE減水剤の添加量が増加することから,PS灰の吸水率が大きいことが示された。
6)PS灰混入コンクリートの乾燥収縮ひずみは,単位水量一定の条件下では,普通コンクリートと大差ないことが示された。
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