研究概要 |
平成14年度は、まず加速度計測値の2階積分法について検討を行った.本年度購入した加速度計を用いて,現有する振動台上で無振動下での計測を実施し,加速度記録には微小な誤差が含まれること,2階積分によりその誤差の影響が飛躍的に蓄積することを再確認した.更に,既に行われた振動実験での計測記録を用いて,2階積分法について検討を行った.その結果,周波数領域での積分よりも時間領域での積分の方が容易である事が判明した.さらに,2階積分法としてすでにIwan教授によって提案されていた方法は,誤差の影響を除去する上で非常に有効な方法であるものの,断層破壊が連続して発生し,比較的大きな加速度が数度生じるような地震動に対しては必ずしも有効でないことを明らかにした.そこで,建物には卓越する固有振動数が存在する特性を用いて,Iwan教授の方法に更にそのフーリエスペクトルの谷の部分で自動的にフィルター処理を行う2階積分法を提案し,その有効性を確認した. また,本装置は基本的には5階建て程度以下の中・低層建物に設置することを考えている.そこで,建物に必要な装置台数を検討するため,台数をパラメータとした5層建物の非線形地震応答解析を実施し,残余耐震性能判定結果の精度について検討を行った.その結果,非線形領域でも,建物が全体崩壊形を示す場合は概ね3層に1つと基礎部に1つの装置で充分であることを明らかにした.また,建物が層崩壊を示す場合,その層崩壊が予測される層,およびその上層に装置を配する必要があることを明らかにした.
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