研究概要 |
本研究では,自然風による快適性向上効果や,通風可能期間の明確化を目的として,気象データとCFD解析,快適指標を組み合わせた通風効果評価手法の構築を行っている.本年度に得られた研究成果を以下にまとめる. ・夏期における室内放射環境の改善を目的として,低日射吸収塗料・簾・断熱材・表面色による日射遮蔽効果性能について模型実験を行った.その結果,簾・白色塗料では,室内表面温度の低下が期待できることを確認した. ・断熱・日射遮蔽手法が室内放射環境・通風快適性に及ぼす影響を把握することを目的とし、遮蔽性能、開口面積をパラメータとした模型実験およびCFD解析を行った.模型実験では,開口の大きさと壁面の遮熱特性が,通風時の温熱環境に影響を持つことがわかった.CFD解析では,開口が十分に大きい場合,外部風向に正対しない場合においても通風量が確保できることを確認した.今後は,CFD解析の精度向上や,放射環境が通風快適性に及ぼす影響の定量的な検討を行う予定である. ・住宅の通風性能を把握するための予備的検討として,多数室換気回路網計算プログラムを作成して気密住宅を対象とした換気計算を行った.峯野らによる実測と照合した結果,プログラムが実用的な精度を有することを確認した.また,換気計算に,移流による湿気移動を組み込み,湿気性状が通風室内の温熱環境に及ぼす影響について検討を行った.今後,気象データと組み合わせた通風解析を行う予定である.
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