本年度は、本学に作製された恒温恒湿実験室内に、以下に示す潜熱蓄熱天井システムおよび計測装置の設置行った。(1)潜熱蓄熱天井を作製するため、潜熱蓄熱材を板状に加工し、実験室の天井に敷設する。(2)室内への吹出し風量を制御するための開閉ダンパ、送風ファン付きラインディフユーザーを天井に設置した。またパソコン・制御器により開閉ダンパの制御を行うシステムを構築した。(3)室内、天井チャンバ内空気温度、気流分布および潜熱蓄熱天井からの熱流量の測定用センサーの設置を行った。測定データをデータロガーを介して、データ回収用パソコンに保存可能なシステムを構築した。(4)室内擬似発熱負荷として、ヒータを設置し、発熱量を制御できるようにした。 夏期における電力ピークカット運転を想定して、8:00〜13:00は通常冷房運転、13:00〜15:00はピークカット運転、15:00〜18:00は通常運転を行った。この運転モードにおける室気温変動、グローブ温度変動、潜熱蓄熱天井材表面温度変動、天井材からの熱流量の測定を行った。比較対象として、通常の石膏ボードを天井材とした場合の実験も行った。ピークカット時における気温上昇は石膏ボード天井と比較して約1℃、天井材表面温度は約2℃抑制された結果となった。実験より得られた熱挙動を基に、潜熱蓄熱天井材の数値モデル化を行い、数値シミュレーションによる検討を行った。その結果、潜熱密度、融点を適切に設定することにより、通常の冷房システムと比較して約3℃、気温上昇の抑制が期待できる結果となった。
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