都市構造の変化により生じる自然環境への影響と特性把握

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14750511
• 研究機関: 大分大学
• 研究代表者: 小林 祐司 大分大学, 工学部, 助手 (20305030)
• キーワード: 自然環境情報GIS / 土地被覆分類 / 緑地環境 / 都市構造 / NDVI / 緑の基本計画 / 用途地域 / ランドサットTM

研究概要

本研究では、(1)都市的活動や都市構造の変化が及ぼす自然環境への影響と関連性、(2)自然環境の特性把握とそれらの類型化、(3)自然環境及び生物多様性保全のための重点的地域の選定、(4)自然環境・生物多様性保全のための指針を示すことを目的としている。
このような分析により、自然環境の変化の態様を明らかにし、保護・保全のための戦略的な取り組みのための資料提供を行う。本年度は以下の項目について調査分析を実施した。
(1)自然環境の各年次の状況と改変状況の把握
衛星データより得られる植生の活性度や土地利用状況(特に自然系緑地や生産系緑地)、環境省の自然環境保全基礎調査と自然環境情報GISデータをもとに、各年次間の自然環境の変化を明らかにした。また、戦前から直近の都市計画図を入手し、GIS上でポリゴンデータとして整備した。これにより、大分市における用途地域の変遷と都市構造の変遷を把握すると同時に、用途地域と前後の土地被覆変化を1985年から2003年までの間で把握した。
(3)都市構造の変化と自然環境変化の関連性分析
前年度の都市構造の変化の把握及び(1)の調査結果をもとに、植生分布、緑地分布など各種自然環境指標め変化要因を重回帰分析により明らかにした。結果として、緑地分布変化は基盤施設、特に市の施設分布との関係性が大きいことがわかった。また、緑の基本計画に示されている項目を元に、今後緑地減少や市街地の増加が想定される箇所の抽出を行った。
(3)自然環境要素の分布地域の類型化と特性把握
これまでの分析結果を元に、都市構造との関連を考慮して、社会的環境指標・土地被覆指標(市街地増加率、緑地減少率)、地形的指標、用途地域指標、自然環境指標などを変量として、自然環境の類型化を数量化皿類分析およびクラスター分析を用いて行った。結果として、開発指向性や緑地量の軸を得て、今後自然環境が衰退する恐れのある箇所を抽出した。

研究成果

• [文献書誌] 永冨太一, 佐藤誠治, 小林祐司, 姫野由香: "自然環境の現況把握と経年変化と定量的分析(その1)大分市緑の基本計画と自然環境情報GISの統合的利用"日本建築学会大会学術講演梗概集. F-1分冊. 871-872 (2003)
• [文献書誌] 小林祐司, 佐藤誠治, 姫野由香, 永冨太一: "自然環境の現況把握と経年変化の定量的分析(その2)大分市緑の基本計画と自然環境情報GISの統合的利用"日本建築学会大会学術講演梗概集. F-1分冊. 873-874 (2003)
• [文献書誌] 下村正樹, 佐藤誠治, 小林祐司, 姫野由香: "用途地域指定の変遷と土地利用変化"日本建築学会大会学術講演梗概集. F-1分冊. 875-876 (2003)
• [文献書誌] 小林祐司, 佐藤誠治, 姫野由香, 金貴煥: "空間相互作用モデルを応用した市街地分布影響モデルの導出と適用-ランドサットTMデータを利用した土地利用変化構造の把握-"日本都市計画学会学術研究論文集. 第38-3号. 403-408 (2003)
• [文献書誌] 小林祐司, 佐藤誠治, 姫野由香, 永冨太一: "リモートセンシングデータと自然環境情報GISを利用した自然環境変化の定量的分析"日本建築学会・情報システム技術委員会/情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集. No.26. 7-12 (2003)
• [文献書誌] 小林祐司, 佐藤誠治, 姫野由香, 永冨太一: "Quantitative Analysis of Green Distribution and Changes in a City - Relation of Green Master Plan and Natural Environment GIS -"Proc.4th Int.Symp.On City Plann.and Environ.Management in Asan Countries. No.4. 1-11 (2004)